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■特集

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第二回ベトナム国際マラソン(ハノイ:1993年1月3日)

第二回大会はハノイの中心地ホアンキエム湖の中央郵便局前を発着とするもので、往路は市内中心を駆け抜けてハノイの最も大きな市場であるドンスアン市場前を通過し、ハノイの象徴的な湖である西湖から紅河沿いを走りタンロング橋より再度市内に入るコースでした。約37km地点ではハノイの聖地といわれているバーデン広場のホーチミン廟前走行も特に許可され、ホーチミン廟正面では衛兵が礼服に身を正して隊形を組んでいたのが印象的でした。

本大会ではオーストラリアの衛星テレビ局「スターテレビ」により、ベトナムの首都から初めて各国に衛星中継が行われました。越政府、ハノイ市は、首都ハノイが衛星中継により始めて世界に紹介されるという画期的なことで、突貫工事にて道路整備、また、コース上にある樹木の剪定は丁寧に行うなど、市内は徹底的な美化作戦を実施しました。レースの模様は国内でもベトナムテレビにより全国中継され、以降再三にわたり再放送を行う等、それまでマラソンとは縁のなかったハノイ市民も地元でのマラソン大会に大きな関心を持ち、市民のほとんどがTV観戦、沿道での応援に加わりました。首都における最初の国際マラソンということで、ハノイ市当局、首都警察は徹底的な交通規制を敷き、コース上は勿論その周辺道路も長時間にわたって全面的な交通遮断を行いました。これに対して市民は全面的に協力し、この交通規制は見事なものであったと海外メデイアも報道したものです。

第2回ベトナム国際マラソン(ハノイ)上位記録
男子
1位 Kurtis Doug  USA   2時間39分14秒
2位 Soutar Tim   UK    2時間50分04秒
3位 Trong  Thong VN    2時間51分41秒
4位 Duong  Manh  VN    2時間56分50秒
5位 R.happer    西ドイツ   2時間56分57秒
6位 D.Hoover     USA   2時間57分28秒
7位 Cheu Que    VN     2時間57分36秒
8位 Dac Giang   VN     2時間57分43秒
9位 Kelly Bill  AUS    2時間59分24秒
10位 Trong Hoang VN    3時間 1分28秒

(女子) : 資料なし

ベトナム国際マラソンはホーチミン市とハノイを交互に毎年開催されたものの、諸般の事情により、96年開催をもって中止となりました。ベトナム全土各省から強化選手参加による唯一の登竜門的な大会だったこともあり、本大会の中止は極めて残念ことと言われたものです。この大会中止を機会にフルを含めた国際マラソン大会は無くなったものの、準国際マラソンとして98年1月ホーチミン市でフル、ハーフ、10キロその他を行いました。それまで伸びてきたマラソン選手もお互いに争う場は、地方単位の小規模なもののみとなってしまったのは発展段階であったベトナム陸上界にとっては大きな損失であったと思われます。 かたやハノイにおいては、95年からソニー、トヨタ・ベトナムの特別協賛、ハノイ・スポーツ局、日本のスポニチ主催によるハーフマラソンが98年まで4回開催されました。 そのうちの一つである97年大会では、日本から約50名、中国、ラオス、カンボデイア等参加国12カ国、また、ハノイ等ベトナム在住、またバンコクからは日本人走遊会会員数名等日本人の方々も多く参加されました。ベトナム北部を中心としてのベトナム選手も多く参加し総数1,700名近くが参加しました。トヨタ・ベトナムのベトナム社員も多く参加し10kmを走りました。また、この大会ではハーフ、10kmスタートに先立ってVIPによる500メートルレースがあったのも楽しいものでした。 この大会での成績は次のようなものでした。 

ハーフ (男子)
1位 日本   1時間05分25秒
2位 ベトナム 1時間09分15秒
3位  同   1時間10分54秒

ハーフ(女子)
1位 日本   1時間16分16秒
2位 ベトナム 1時間17分54秒
3位 ベトナム 1時間17分54秒

しかし、99年以降ハノイにおいては、このような市民ランナー参加型のハーフマラソン以上の大会は開催されていません。中心部のホアンキエム湖周回などのミニマラソンは時折開催されますが、10キロ以下の距離のようです。それに反してホーチミン市においては地元新聞社の主催により98年にフル、ハーフ、ミニ等が開催された経緯があります。同市ではミニは時折開催されているようです。しかし、中心部の交通渋滞の問題が大きくなり市内中心部での開催は年々困難となり、道道路が広くバイク等車両の通行量が少ない新しく開発された郊外での大会が多くなりました。しかし、これも10km程度です。

ベトナムには陸上競技を中心とした各種スポーツ競技選手を訓練する国立体育訓練センターが現在国内4か所に設置されています。ハノイ郊外にはその中核的なセンターがあり、センター内には多くの選手が利用できる宿舎、また食堂も設置されており、常時500人くらいが訓練を行っています。すべての陸上競技種目、射撃、各種球技等です。また、その近辺には柔道、水泳等の訓練施設も開設されています。 この国立体育訓練センターは規模の大きいハノイは別格としても、ダナン、ホーチミン市に設置されていますが、最近ベトナム南部カントー市にも開設されました。

ベトナムのマラソンについて述べる際には、どうしても語らなければならない人がいます。 その人はBui Luonさんです。彼は現在70歳、60歳の定年後はボランテイアでハノイの国立体育訓練センターで若手男女選手たちの育成にあたっています。週末は市内の自宅に帰りますが、平日は選手と同じ宿舎に泊まり込みで朝は5時過ぎからの練習です。25歳に彼の出したマラソン記録は2時間31分台、30数年間彼の記録はベトナム記録を継続しました。マラソン以外にも長距離、中距離における彼の記録は長年ベトナム記録を維持していました。現在Luonさんは、本年12月にラオスのビエンチャンで開催される東南アジアのオリンピックと言われるSEA GAMEのための指導に余念がありません。 参考までに現在のベトナムの陸上競技の上位記録は概要次の通りです。
マラソン
男子:1位:Dong 30歳 2時間20分 

    2位:Xuan     2時間42分

(Dongは脚の故障により、現役を引退しコーチとして後進の指導に当たっています。しかし、まだ30歳、マラソン界への復帰を期待したいものですが、ベトナムのマラソン選手の現役期間は一般的に短く、現役復帰は難しいかもしれません。Dongは中国で数年のスポーツ留学を経験しています。また、彼の妻は走り高跳びのベトナム代表選手ですが、まれなる美貌でも知られています。ハノイの国立体育訓練センターでロシア人のコーチにより練習を行っている時もあります。) 他の選手は2時間44分台が多く、以前は2時間30分を切る選手がずらりと並んでいたのが現在の低迷振りは大変残念なことです。 女子1位:Hien 2時間40分台後半から2時間50分を切るぐらいの記録が多いようです。他の選手は2時間50数分台が並んでいます。 (Hienはハノイの国立訓練センターで練習し、夜は大学に通っているとのことです。今年2月には香港国際マラソンに招待選手として招待されました。12月にラオスのビエンチャンで開催のSEA GAMEの代表に内定しているようです)

その他のベトナム陸上競技記録概要(2008年度国内記録の概要)
男子:
100m:10秒20、
400m:47秒06
800m:1分49秒81 
1,500m:3分52秒18、
5,000m:14分46秒51
10,000m:30分21秒51

女子:
100m:11秒54、
400m:55秒52、
800m:2分06秒95
1,500m:4分14秒32、
5,000m:15分43秒30
10,000m:34分48秒28
                                                          (完)


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